アンハッピー・ウエディング〜後編〜
事件が起きたのは、午後の体育の授業が始まって僅か10分。
準備運動として、腕立て伏せ10回、腹筋運動10回、馬跳び10回を計3セットするのが、いつもの体育の授業のルーティンなのだが。
問題は、その準備運動が終わった直後。
いつもなら「あーダルい面倒臭い」くらいにしか思わないのだが、この日は違った。
「…」
何故だが、妙に身体が重い。
ダルいのはいつものことだけど、このダルさは、いつもの「かったるい」みたいなダルさじゃなくて。
本当に、身体がしんどいという意味のダルさ。
大して動いてないはずなのに、ずっしりと身体が重く、息が切れる。
そして暑い。この学校いつも暑いけど、そういう暑さじゃなくて。
何と言うか…暑いと言うより、熱い。
認めざるを得ない。
外が暑いんじゃなくて、身体が熱を発して熱いのだと。
…ついでに言うと、凄く気持ち悪い。
「お…おい、星見の兄さん。マジで顔色悪いけど大丈夫?」
思わず、雛堂がガチ目に心配するほど。
そうか…。俺、今顔色悪いのか。
…正直、自分でもそう思う。
身体が危険信号を発してるような気がする。「そろそろ本格的にヤバイよ」みたいな。危険信号。
「これ以上はやめといたら?見学させてもらえよ」
と、雛堂は勧めてきた。
出来ればそうしたい…ところだが。
でも、だからって体育の授業中に「体調悪いんで見学させてください」はダサいだろ。
見学するんなら、最初っから見学してろっての。
中途半端に参加して、中途半端に見学なんて、中途半端過ぎる。
それに、今日の体育はバレーボール。
ただでさえ人数少ないのに、誰か一人でも欠員が出たら、ゲームが成立しなくなってしまう。
もうチーム分け決まっちゃったし。今から抜けたらチームメイトに大迷惑。
「大丈夫だって…。何とか、気力で乗り切るよ」
「見学じゃなくて、保健室に行くべきなのでは?」
乙無が、そんな大袈裟なことを言った。
保健室なんて。いくらなんでも大袈裟だ。
ちょっと気分悪いだけだって。多分夏バテとか、そういうのだから。
「大丈夫、大丈夫…。平気だって。バレーなんてそんな動かないし」
「いや、大丈夫そうに見えないから言ってるんですけど…」
「大袈裟だよ。…ほら、早速そろそろ出番だから、行ってくるわ」
ふらふらとコートに歩いていく、俺の背中を見つめながら。
「…大丈夫かね?あれ…」
「さぁ…。何処からどう見ても風邪ですが、認めたくないんでしょうね」
「何で?素直に認めて、さっさと保健室行った方が楽じゃね?」
「夏風邪は馬鹿が引くからでしょ」
「あー、成程。俺は夏風邪なんか引くような馬鹿じゃないって、認めたくない訳ね。はいはい」
後ろの方で、雛堂と乙無が何やら喋っていたが。
その時の俺には、全く聞こえていなかった。
準備運動として、腕立て伏せ10回、腹筋運動10回、馬跳び10回を計3セットするのが、いつもの体育の授業のルーティンなのだが。
問題は、その準備運動が終わった直後。
いつもなら「あーダルい面倒臭い」くらいにしか思わないのだが、この日は違った。
「…」
何故だが、妙に身体が重い。
ダルいのはいつものことだけど、このダルさは、いつもの「かったるい」みたいなダルさじゃなくて。
本当に、身体がしんどいという意味のダルさ。
大して動いてないはずなのに、ずっしりと身体が重く、息が切れる。
そして暑い。この学校いつも暑いけど、そういう暑さじゃなくて。
何と言うか…暑いと言うより、熱い。
認めざるを得ない。
外が暑いんじゃなくて、身体が熱を発して熱いのだと。
…ついでに言うと、凄く気持ち悪い。
「お…おい、星見の兄さん。マジで顔色悪いけど大丈夫?」
思わず、雛堂がガチ目に心配するほど。
そうか…。俺、今顔色悪いのか。
…正直、自分でもそう思う。
身体が危険信号を発してるような気がする。「そろそろ本格的にヤバイよ」みたいな。危険信号。
「これ以上はやめといたら?見学させてもらえよ」
と、雛堂は勧めてきた。
出来ればそうしたい…ところだが。
でも、だからって体育の授業中に「体調悪いんで見学させてください」はダサいだろ。
見学するんなら、最初っから見学してろっての。
中途半端に参加して、中途半端に見学なんて、中途半端過ぎる。
それに、今日の体育はバレーボール。
ただでさえ人数少ないのに、誰か一人でも欠員が出たら、ゲームが成立しなくなってしまう。
もうチーム分け決まっちゃったし。今から抜けたらチームメイトに大迷惑。
「大丈夫だって…。何とか、気力で乗り切るよ」
「見学じゃなくて、保健室に行くべきなのでは?」
乙無が、そんな大袈裟なことを言った。
保健室なんて。いくらなんでも大袈裟だ。
ちょっと気分悪いだけだって。多分夏バテとか、そういうのだから。
「大丈夫、大丈夫…。平気だって。バレーなんてそんな動かないし」
「いや、大丈夫そうに見えないから言ってるんですけど…」
「大袈裟だよ。…ほら、早速そろそろ出番だから、行ってくるわ」
ふらふらとコートに歩いていく、俺の背中を見つめながら。
「…大丈夫かね?あれ…」
「さぁ…。何処からどう見ても風邪ですが、認めたくないんでしょうね」
「何で?素直に認めて、さっさと保健室行った方が楽じゃね?」
「夏風邪は馬鹿が引くからでしょ」
「あー、成程。俺は夏風邪なんか引くような馬鹿じゃないって、認めたくない訳ね。はいはい」
後ろの方で、雛堂と乙無が何やら喋っていたが。
その時の俺には、全く聞こえていなかった。