アンハッピー・ウエディング〜後編〜
…しっかし、何で風邪なんか引いたんだろうな。

夏風邪だぞ?馬鹿が引くって言う夏風邪。

つまり、俺が馬鹿だったってことじゃないか。

何が悪かったのか。別に風邪を引くようなことは何も…。

…と、思って最近の自分の行動を思い出してみたら。

そういや、学校が暑いからって、極端にエアコンの温度を下げてみたり。

氷をたっぷり入れた、冷たいアイスコーヒーをがぶ飲みしたり。

ついでに、アイスクリームも食べてたっけ…。

外と家の中の寒暖差があまりに激しくて、そのギャップに身体がついていかなかったのかも。

ただでさえ、二学期始まったばかりで、まだ身体が学校生活に慣れてなかったから。

あとは…単に夏バテ。

色々な要因が組み合わさって、今のみっともない姿が出来上がったと。

…そういうことなのかもしれない。

いずれにしても、情けないことに変わりない。

どうすんだよ。今日…洗濯も掃除もしてないし。

せめて、夕飯作るくらいはしようかな…。

…と思いながら、うつらうつらしていると。

玄関の方から、誰かが帰ってくる音がした。

時計を見てみたら、時刻は既に放課後の時間になっていた。

あぁ…寿々花さん、帰ってきたのか…。

…じゃ、そろそろ起きないとな…。

俺はのろのろと、緩慢な動きでベッドから起き上がた。

…あー。まだ頭ふらふらする…。

熱下がってないのかな…。体温計、何処にやったっけ。

そもそも、この家体温計なんかあったかな…。

普段はなくても全く困らないけど、いざというとき家になかったら困るものの筆頭だよな。体温計。

買いに行きたくても、具合悪くて容易に買いに行けないし。

まぁ良いや。

さっき病院で薬もらったし、明日の朝までには熱下がるだろ。

「寿々花さん…お帰り」

「あれ?悠理君が先に帰ってる…珍しいね」

リビングに行くと、丁度寿々花さんが帰ってきて、学生鞄をテーブルの上に置こうとしているところだった。

「あぁ…。今日、早退して帰ってきたから…」

「…悠理君、声がガラガラになってるよ」

「…」

だよな?やっぱり。

自分でもそう思う。

喉いったいんだもん。仕方ないだろ。

「それに、朝より顔が赤くなってる…。…はっ、もしかして」

は?

「悠理君、お熱あるんじゃない?」

…見破られたか。

まぁ、そりゃそうなるよな。

ふらふらだし、頭もボッサボサだし、声もガラガラ。

何処からどう見ても、見紛うことなく病人だよ。
< 71 / 645 >

この作品をシェア

pagetop