アンハッピー・ウエディング〜後編〜
これには、雛堂もびっくり。

「…え、マジ?冗談のつもりで言ったんだけど…。マジでやってたの?」

ちょっと、おい。ドン引きやめろ。

自分から聞いてきたんだろうが。

「違う…。いや、違わないけども。でも違うんだ。これは、寿々花さんが勝手に…」

「こんな時でさえイチャつくとか…。余裕じゃねーかよ星見の兄さん。…もっかい鼻血、出しとくか?」

出さねーよ、馬鹿。何考えてるんだ。

「このリア充共め。心配して来てやったのに…。必要なかったようだな、え?いっそ爆発してしまえ」

「だ、だから…俺は別に…」

「へいへい。どうやら自分ら、お邪魔虫だったみたいだぞ」

「そうですね。邪魔者はさっさと帰りましょうか」

「おうよ。これ以上ここにいたら、星見の兄さんにリア充菌を感染されるわ」

…何だよ?リア充菌って。

俺はリア充じゃないし、本当にリア充菌なら、むしろ雛堂は感染されたいのでは…?

…って、俺も何を考えてるんだか。

「あ、そうだ。6時間目に数学で課題が出たんですけど…。伝えておきましょうか?体調が良くなってからにします?」

と、乙無が振り返って言った。

「治ってからやるから…。一応、教えておいてくれ」

「問題集4章の26〜27ページの設問全部と、テキストの107ページから110ページを読んで予習してこい、とのことです」

はいはい。了解。 

今は頭痛いから無理だけど…。熱下がってからやっておくよ。

「いやー、この兄さん、リア充アピールする余裕があるんだからさ。もっと勉強やらせようぜ。問題集全部とテキスト全部読んでこいってさ」

嘘つけ雛堂。そんな宿題出てねーだろ。

あんたが何にキレてんのか、俺には分からないよ。

「そんじゃ、自分らは帰るわ。しっかり風邪治してこいよ。もう鼻血噴くなよー」

「お大事に、悠理さん。それからお茶とお菓子、御馳走様でした」

「…どうも…」

雛堂と乙無は手を振って、帰っていった。

…嵐が過ぎ去ったかのようだな。

残された、俺と寿々花さんは。

「…悠理君、鼻血出たの?」

きょとん、と首を傾げる寿々花さん。

「出たけど…。顔面にボール食らっただけだよ…」

「痛かったねー、よしよし。痛いの痛いの〜…飛んでけー」

「…はいはい、飛んでった飛んでった…」

お陰様ですぐに治りそうな気がしてきたよ。どうもありがとうございました。
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