再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜
 親父と別れて、さっきの女性がいるところへ向かった。もう何時間ここにいるのだろうか。

「おい」

 何も考えずに、声を掛けていた。

「へ⁈」

 驚いた声が返って来た。それはそうだろう。突然声を掛けられたら、誰でも驚くはずだ。だが、体調が悪いわけでもなさそうだ。俺の心配が伝わったのか、彼女がポツリポツリと話し出した。

 ずっと片想いしていた相手と親友の結婚式……。

 聞いているだけで胸が痛む。今日まで、どれほど辛い日々を過ごしてきたのか。彼女の目からはキラキラとした涙が溢れた。

 その瞬間、俺は悟った。どこの誰かもわからない目の前の女性に一目惚れしたのだ。そして、彼女の涙の元である男性に、嫉妬心が燃え上がる。

「忘れたいか?」

 俺の言葉に彼女は頷いた。傷心の彼女に漬け込む形になるが、逃がすつもりはない。俺の男としての欲望が彼女だと言っている。


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