再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜

思わぬ出来事

　この地に来て仕事に慣れて来たころだった。

　朝、起きるのが辛い日が続いた。それでも、気力を振り絞り出勤していたのだが、疲れやすく時々眩暈を感じる。

「美夜ちゃん、大丈夫？顔色が悪いわよ」
「大丈夫です。少し眩暈が……。貧血ですかね」
「しっかり食べてる？」
「……」

　実は、ここ最近食欲も落ちていて、あまり食べられない日が続いていたのだ。

「今日、仕事が終わったら、うちに食事へいらっしゃい」
「でも……」
「主人は医者なの。ついでに診てもらうといいわ」
「ありがとうございます」

　店長には、ご主人と高校生の娘さんがいると聞いてはいたが、ご主人がお医者様だとは初めて知った。見知らぬ地に来てから気を張っていただけに、有難いお誘いだ。もし、大きな病院に行った方がいいと言われたら、素直に受診しようと思う。

　接客をしていると時間が経つのも早く、体調が悪いのも忘れる。気にするほどではないと思うが、出来れば原因を知ってすっきりしたい。


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