再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜
 店長の車に乗り込み連れて来られたのは、フラワーショップから十分ほどの距離にある産婦人科の個人病院に併設された立派なご自宅だった。

 世間一般でみたら、店長は働く必要のない奥様なのだと思う。病院もご自宅も立派で呆けてみてしまう。

「失礼なことをお伺いしてもいいですか?」
「どうしたの?なんでも聞いて」
「どうしてフラワーショップで働いているんですか?」
「あら?おかしいかしら?」
「い、いえ。おかしくはないのですが、こんな立派な病院の奥様なんですよね?」
「フフッ、確かに働かなくても困りはしないわね。私が働く理由を聞きたい?」
「はい!」
「まずは、純粋にお花が好きっていうのが一番ね。次に、病院にお花を持ってお見舞いに来る方が多いでしょう?それを目にしていたら、私自身がフラワーアレンジメントを作りたいと思ったの」
「ご希望のお品を作るのは楽しいですよね」

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