α御曹司に囚われた夜 ~αなのにヒートが起きて、好きでもない社長にいただかれました~
中2のとき、初潮が来た。誰にも言わないでと頼んだにもかかわらず、継母は簡単に言いふらした。
両親のいない夜のことだった。
弟は中1とは思えない傲岸な目つきで、仲間らを引き連れて、私の部屋に入ってきた。仲間、あるいは、手下らには、小学生から高校生までいた。
「やっとお前も女になったかよ。孕めるかどうか試してやるよ」
普段は私を空気のように無視する弟は、そんな恐ろしいことを言ってきた。
椅子に座っていた私は、急に視えない手で後ろに引きずられて、ベッドに押さえつけられた。
弟の威圧だ。
弟は強力な威圧の持ち主だった。それで、強者として君臨している。
私は視えない手に押さえつけられ、制服のスカートをたくし上げられた。両足を開かれる。
仲間らの注目が私に集まる。
弟は、姉を、見世物にしているのだ。それどころか慰みものとして与えてやろうというのだ。
しかし、弟一人の威圧だけでここまで自由にされるものだろうか。
最近多発している、女子中高生らへの凌辱事件を思い出した。
複数のαが事件に関わっていると噂されていた。
弟らは複数のαで徒党を組んで、凌辱事件を起こしているのだ。私もそのターゲットになったということだ。
逃げようとするも、声も出せない。
ブラウスの前ははだけ、ブラジャーも押し下げられていた。足は大股に開かれている。
このままだとやられる。
ショーツを下げられようとしたところで、必死で威圧を放った。弟だけに集中した。
うまくいくとは思えなかった。ただ、恐怖のあまり、やっただけだ。
なのに、弟は吹き飛んだ。弟は窓ガラスに背中からぶち当たり、そのままガラスを割って、外に落ちて行った。ドサッと音がした。
私を絡めとっていた威圧はやんだ。仲間が私を恐ろしいものでも見るような目をして、部屋から出て行った。階段をドタドタと降りていく。
割れた窓の外から、「大丈夫か」「救急車だ!」などと慌てる声が聞こえてくる。
呆然としていると、誰かが、肩にカーディガンをかけて、スカートの裾を直していった。
さわさわと夜風にカーテンが揺れていた。
救急車のサイレンが大きくなり、また遠ざかって、静けさが戻ってきた。
やっと思考が動き始めた。
弟のやっていることに反発している誰かが、私に呼応して威圧を弟に放ったのだと。
私の威圧で、弟が吹き飛ぶはずもない。
***
弟は、脊髄を傷めて、半身不随となった。
仲間とふざけて遊んで、自分から窓ガラスに突っ込んでしまったことになっていた。
凌辱事件はやんだが、それについても、弟らとの関係が明らかになることはなかった。
継母も父も、私を見る目つきが、ぞっとするほど冷たいものとなっていた。彼らにとって、私は被害者ではなく加害者になっていた。
すぐに家を出て、母方の祖父母を頼った。
家に残ったままでいれば、何かをきっかけにして、殺されてしまうのではないか。そこまで恐怖心を募らせていた。
父と継母は弟を溺愛していたし、何よりサイコパスな弟は何をしでかすかわからなかった。