拷問ASMRー恐怖の音当てクイズー

「……なぁ、本当に視聴するのか？」


みんなが準備を始める中、進だけがなぜか浮かない顔をしていた。
スマホも出していない。


「進、どうしたの？　なんか顔色悪いけど」


由佳が心配そうに声をかける。


「いや、やっぱりこういう得体のしれない配信は見ないほうがいいような気がして」


モゴモゴと、口の中で言い訳をするように言う。
ハッキリしない言い方は進らしくなかった。


「どうしたんだよ進。ただ動画の生配信を見るだけなのに、なんか変だぞ？」

「だって……」


進はそう言ったきり黙り込んでしまった。
なんとなく重たい空気が進の周りにだけ定住している。


「あ、もう８時になるよ！」


そんな雰囲気も和美の明るい声によってかき消されてしまった。
全員の視線が準備されたそれぞれのスマホへ向かう。
画面上には配信開始前のカウントダウンンが映し出されていた。


「１０秒前から！」


久貴が立ち上がり、両手をパーにして数え始めた。