拷問ASMRー恐怖の音当てクイズー
☆☆☆

夜の校舎内はとても静かだった。
とてもここに人がいるなんて思えない。
4人分の足音だけが廊下に不気味なほど響き渡っている。
和美は由佳の腕にしっかりとしがみついてようやく一歩ずつ足を進めていた。


「まずはどこに行く?」
「調理実習室に決まってんだろ」
進からの質問に当然だと言わんばかりに久貴が答える。


配信は調理実習室からされていたみたいだから、当然の結果だった。
だけどお目当ての教室は1階にあり、外から見る限りでは電気がついていなかったはずだ。
本当にそこに誰かがいるのか、由佳にはわからなかった。


「配信者がいたら、どうするの?」
和美が震える声で聞く。
「まずは交渉をする。10万円をもらえるかどうか。交渉してダメなら、力づくで奪うまでだ」


久貴はそう断言すると拳を作って見せた。
その様子に進が呆れ顔をして左右に首を振った。
「交渉が成立するはずがないから、力づくになるのは目に見えてるな」


「その時は4人全員で力を合わせればどうにかなるだろ」
進の嫌味も通じないようで、久貴はポキポキと指を骨を鳴らし始めた。
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