【短編】私とあなた
『なぁ~、栞って好き奴居るって言ったっけ?』
「え?どして?」
ちょっとわざとらしく返事した。
心のどこかで隆介の好きな人が、
私であってほしいと願っていた。
『ん~なんとなく?』
「居るかなぁ?ってか出来たって言った方がいいかな?」
『おっ!?まじっ!?』
「うん♪」
『俺さぁ~…告ろうと思ってんだけど、どう思う?』
―ドクンッ…
一気に心臓が高鳴った。
でも、この高鳴りはドキドキじゃなくて、
ドックンドックンしている…。
一気に不安で押し潰される…。
隆介が告白…?誰に…?
でもさ・・こういう時って背中押さないと不自然だよね…?
「うん、いいと思うよ!」
嫌々送った…涙が溢れそうになる…。
『そっか。ありがと。』
「うん。」
それから隆介の返事が途絶えた。
またこんなことで不安が大きくなる。
1時間後…また携帯が鳴った。
返事をずっとしていない昇からだって思っていた。