【短編】私とあなた


『なぁ~、栞って好き奴居るって言ったっけ?』


「え?どして?」

ちょっとわざとらしく返事した。



心のどこかで隆介の好きな人が、

私であってほしいと願っていた。



『ん~なんとなく?』

「居るかなぁ?ってか出来たって言った方がいいかな?」


『おっ!?まじっ!?』

「うん♪」


『俺さぁ~…告ろうと思ってんだけど、どう思う?』


―ドクンッ…

一気に心臓が高鳴った。


でも、この高鳴りはドキドキじゃなくて、

ドックンドックンしている…。



一気に不安で押し潰される…。


隆介が告白…?誰に…?




でもさ・・こういう時って背中押さないと不自然だよね…?


「うん、いいと思うよ!」


嫌々送った…涙が溢れそうになる…。



『そっか。ありがと。』

「うん。」


それから隆介の返事が途絶えた。



またこんなことで不安が大きくなる。




1時間後…また携帯が鳴った。


返事をずっとしていない昇からだって思っていた。



< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop