天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「母上、確かに私は公爵家を出ましたが、血の繋がりがあることは変わりません! それにすでに罰を受け償ったはずです。それなのにどうして……!」
「罪を償ったですって……?」

 ピリッとした空気がバックマン公爵夫人から放たれる。公の場所ではほとんど感情を乱さない母親が、これほどまでに怒りをあらわにしているのをダーレンは初めて目にした。

「いえ、その……公爵家から出されたので、罰は受けております」

 その罰ですら納得できるものではなかったが、当主の決定は絶対だ。渋々従ったが、ダーレンはまだ公爵家と繋がりがあると思っていた。

「まだわからないのね。本当に子育てを失敗したわ」
「そんな……」
「お前とバックマン公爵家の縁はすでに切れたのよ。私を軽々しく母と呼んで声をかけないでちょうだい」

 実の母親から絶対零度の視線を向けられ、ダーレンはやっとことの重大さに気が付いた。

(そんな……私はもうバックマン公爵家に戻れないだけでなく、家族としても切られたというのか!?)

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