天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
婚約者をアマリリスからロベリアに挿げ替えただけだというのに、こうも簡単に切り捨てられるとは思ってもみなかった。多少不義理はしただろうが相手は格下の侯爵家だし、ダーレンは大きな問題ではないと考えていたのだ。
後継者の立場を弟に譲り、クレバリー侯爵家へ行けば許されるはずだった。
「は、母上……!」
今まで愛情のこもった眼差しで優しく名を呼んでくれた母はそこにいない。心が凍るほど冷ややかな視線でダーレンを見つめるバックマン公爵夫人の姿しかなかった。
「何度も言わせないでちょうだい。聡明で誠実なアマリリスを捨てて、従姉妹の婚約者に色目を使うあばずれを選ぶような愚息はバックマン公爵家に不要よ」
ダーレンが伸ばしかけた手を無視して、バックマン公爵夫人は背を向ける。侮辱の言葉にギリッと歯を食いしばるロベリアには気付かず、ダーレンは喉がカラカラに乾いて声を出すこともできない。
「次に私のことを母と呼んだら不敬罪に問います」
ダーレンは振り返ることなく告げられた拒絶の言葉に、ただただ呆然としていた。
後継者の立場を弟に譲り、クレバリー侯爵家へ行けば許されるはずだった。
「は、母上……!」
今まで愛情のこもった眼差しで優しく名を呼んでくれた母はそこにいない。心が凍るほど冷ややかな視線でダーレンを見つめるバックマン公爵夫人の姿しかなかった。
「何度も言わせないでちょうだい。聡明で誠実なアマリリスを捨てて、従姉妹の婚約者に色目を使うあばずれを選ぶような愚息はバックマン公爵家に不要よ」
ダーレンが伸ばしかけた手を無視して、バックマン公爵夫人は背を向ける。侮辱の言葉にギリッと歯を食いしばるロベリアには気付かず、ダーレンは喉がカラカラに乾いて声を出すこともできない。
「次に私のことを母と呼んだら不敬罪に問います」
ダーレンは振り返ることなく告げられた拒絶の言葉に、ただただ呆然としていた。