天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜

2話 婚約破棄されたので便乗しました

 この日は王族が主催するパーティーが開かれるため、アマリリスたちは会場である王城の大ホールへやってきた。

 魔法灯の灯りを受けて、キラキラと輝くクリスタルのシャンデリアの光がホールに降り注ぎ、参加者たちの華やかな装いを引き立たせている。

 ダンスフロアではいろとりどりのドレスが花咲くように開いて、花びらが舞うようにひらりと揺れた。

 管楽器が奏でるワルツを聴きながら、貴族たちは談笑や人脈を作るために腹の探り合いをしている。
 そこへ突如、叫び声が上がった。

「アマリリス! お前のような悪女とは今日で最後だ! この場で婚約破棄して私はロベリアと婚約する!!」

 今までのざわめきはぴたりとやんで、ワルツの音楽だけが我関せずと流れていた。

 声を上げたのはバックマン公爵家嫡男ダーレンで、アマリリスの婚約者だ。その腕には従妹のロベリアが寄り添っている。

 ロベリアはダーレンの腕にしがみつき青い瞳を潤ませ、アマリリスに怯えた様子で震えていた。シャンデリアの光を受けてキラキラと輝く金髪が、より儚げに見せている。

 このパーティーに参加する前にアマリリスにドレスの着付けを手伝えだの、果実水が飲みたいからすぐ持ってこいだの命令していたのは微塵も感じさせない。

 アマリリスはダーレンが発した言葉を吟味した。

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