天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
* * *
アマリリスが去った後の国王の執務室では、今まで見たことがないほどルシアンは嬉しそうに笑みを浮かべている。幼い頃から優秀だったがどこか冷めた表情のルシアンが、唯一の女性に出会い幸せそうに笑うのを国王は父として喜ばしく思っていた。
しかも相手は公爵家の娘で身分も問題なく、周りの心を読み手のひらで転がすほど聡明だ。さらに使用人まで気にかける慈悲深さと、国王である自分にも怯まない豪胆さも持っている。
「ルシアン、私が手を貸せるのはここまでだ。アマリリスの心しかと掴むのだぞ」
「もちろんですよ、父上。必ずリリスの心を僕で染め上げます」
ルシアンがアマリリスのことを父に話したのは、ダーレンが婚約破棄を告げたパーティーの三日前だった。
それまで調査を重ねてきたアマリリスの資料と、婚約者だった令嬢の不貞の証拠を持参してきてこう言ったのだ。
『父上、僕はアマリリス・クレバリーを妻にします』
『なにを言っておる、お前はすでに婚約者が——』
『こちらは彼女の不貞の証です。王族の婚約者として不適格なので、先方の有責で婚約破棄します』
アマリリスが去った後の国王の執務室では、今まで見たことがないほどルシアンは嬉しそうに笑みを浮かべている。幼い頃から優秀だったがどこか冷めた表情のルシアンが、唯一の女性に出会い幸せそうに笑うのを国王は父として喜ばしく思っていた。
しかも相手は公爵家の娘で身分も問題なく、周りの心を読み手のひらで転がすほど聡明だ。さらに使用人まで気にかける慈悲深さと、国王である自分にも怯まない豪胆さも持っている。
「ルシアン、私が手を貸せるのはここまでだ。アマリリスの心しかと掴むのだぞ」
「もちろんですよ、父上。必ずリリスの心を僕で染め上げます」
ルシアンがアマリリスのことを父に話したのは、ダーレンが婚約破棄を告げたパーティーの三日前だった。
それまで調査を重ねてきたアマリリスの資料と、婚約者だった令嬢の不貞の証拠を持参してきてこう言ったのだ。
『父上、僕はアマリリス・クレバリーを妻にします』
『なにを言っておる、お前はすでに婚約者が——』
『こちらは彼女の不貞の証です。王族の婚約者として不適格なので、先方の有責で婚約破棄します』