天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 提出された不貞の証拠を見て国王は愕然とした。信頼していた臣下の娘であったが、何年も前から他の男と通じており深い関係にあると書かれている。物的証拠も揃っており、疑いようがなかった。

『だが、アマリリスは稀代の悪女と呼ばれている。そんな令嬢では許可できんな』
『あれは演技です』
『なに? 演技だと?』

 ルシアンから幼い頃のアマリリスの立ち居振る舞いを聞き、これまでの調査報告書に目を通した国王は低い声で唸る。

『ううむ……これが事実であれば、クレバリー侯爵にもなんらかの処罰が必要だ』
『それは僕が対応します。ですがアマリリスが悪女のふりをしているというのは、ご納得いただけましたね?』
『ああ、だがアマリリスもダーレンと婚約を結んでいる。どちらにしてもお前の希望は通らないであろう』
『ダーレンは三日後のパーティーで、アマリリスに婚約破棄を告げると情報が入りました』
『ふむ……そういうことか』

 口角を上げたルシアンは、その才能を活かしアマリリスを絡めとる計画を提案してきた。まずは婚約破棄後にアマリリスの身柄を確保し婚約を打診するつもりだが、難色を示すようであれば他の方法で王城に引き止め婚約者候補とする内容だった。

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