天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜

「えっ……？　辞めてきたとは、どういうことですの？」
「だから、私の才能を活かせる職ではなかったから、本日付で辞職してきたのだ！」

　ダーレンの言葉にロベリアは目の前が真っ暗になった。せっかく父が用意した職をあっさりと辞めて、この先どうやって身を立てていくというのか。

「では、次の職は決められたのですか……？」
「はあ？　そんなもの決まっているわけがないだろう！　この私にふさわしい職を用意しないクレバリー侯爵の責任だぞ！」
「そんな……」
「そもそも、私に雑用しか任せないような見る目ない奴らの下で、仕事などできるわけがないのだ！　公爵家で後継者として学んできた私なら、責任ある立場に——」

　ロベリアは途中からダーレンの言っている意味が理解できなくなった。まだ職について一カ月にも満たないのに、責任ある仕事を任せられるわけがない。

　しかも突然の辞職でクレバリー侯爵の顔も潰れてしまい、すぐに次の職が見るかるかもわからない状況だ。ロベリアは文句を言い続けているダーレンを遮った。