天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 ダーレンとはアマリリスが十歳の時に婚約を結んだが、伯父一家がやってきてからまともに会うこともできなかった。公爵夫人には三カ月に一度お茶会に呼ばれて会っていたが、ダーレンとは年に一度会うかどうかだ。

 なんの感慨も感情も起きないので、この場はどうするのがベストなのかと計算する。

(ここで婚約破棄……そろそろかと思っていたけれど予想より早かったわね。仕方ない、もう()()を実行するのがよさそうだわ)

 ほんの数秒で今後の方針を決めたアマリリスは、にっこりと微笑み優雅にカーテシーをした。

「承知しました。それでは失礼いたします」
「なっ! お前! それだけか!?」

 くるりと踵を返してさっさと退出しようとしたアマリリスを、ダーレンが慌てて引き止める。心底不思議そうな顔でアマリリスが振り返った。

「他になにかございますか?」
「お前の悪行をここでつまびらかにして、処罰を受けるのだ!!」

 そう言ってダーレンは次々と悪行を並べていく。
 アマリリスは聞くのも面倒だったがなんとかこらえ、頭の中ではこれから自分がすべきことを考えていた。

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