天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 今では妹の社交を邪魔した上に男を次々と乗り換え、素行が悪く侯爵夫妻にも手に追えないなど、事実無根の噂が広まりすっかり悪女認定されている。

 まさしくアマリリスの花ような真っ赤な髪に、射貫くような琥珀色の瞳が噂に拍車をかけていた。

 だけどいくら悪女だと言われても気にならない。気にしたところで理不尽な現実は変わらないのだ。
 そんなことで泣くようなか弱い心は、とうの昔に掃いて捨てた。

 それに、伯父夫妻の狙い通りダーレンがロベリアと婚約を結ぶと言っているのだ。

 あの泥舟から逃げ出すなら今しかないと、アマリリスは理解している。もたもたしていたら、エミリオに手籠にされてしまうだろう。

(でも公爵夫人には気に入られていたから、完膚なきまでにそこを崩しておかないと面倒なことになりかねないわ。それなら、ちょうど注目を集めているし、ここで便乗して一発やらかしておくのがベストかしら)

 いまだに喚き散らしているダーレンの言葉を遮って、周りにもよく聞こえるように大きめの声で名を呼んだ。

「ダーレン様」

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