天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「ルシアン殿下、お待ちしておりました。先方様はすでにご到着でございます」
「そうか。ではそちらへ向かおう。リリス、こっちだよ」
ルシアンのエスコートで馬車の乗降口から程近い高級レストランへ向かって歩く。店内入ると一階と二階に客席があったが、他の客は誰ひとりいなかった。
(さすがに王族が利用するとなると貸切なのね……)
アマリリスは二階の客室へ案内され階段を登っていくと、次第に二階のフロアが視界に入る。三人組の男性客がいることに気が付き、わずかに話し声が聞こえてくる。
「テオドール様、落ち着いてください。もうすぐ来られますよ」
「落ち着いていられるか、八年ぶりなんだぞ」
「シスコンが酷すぎても嫌われますよ?」
「ぐっ」
アマリリスは階段の途中で足を止めた。
(嘘……嘘、まさか——)
あと数段登れば二階のフロアに上がり切るというのに、身体が固まって動けない。
「リリス、ほら」
ほんの少しだけ強引にルシアンがエスコトーしてくれたおかげで身体が動き、足音を立てて階段を駆け上がる。その音に気が付いた男性客たちが振り返り、短く切り揃えられたブラウンの髪の青年が大きく目を見開いた。
「そうか。ではそちらへ向かおう。リリス、こっちだよ」
ルシアンのエスコートで馬車の乗降口から程近い高級レストランへ向かって歩く。店内入ると一階と二階に客席があったが、他の客は誰ひとりいなかった。
(さすがに王族が利用するとなると貸切なのね……)
アマリリスは二階の客室へ案内され階段を登っていくと、次第に二階のフロアが視界に入る。三人組の男性客がいることに気が付き、わずかに話し声が聞こえてくる。
「テオドール様、落ち着いてください。もうすぐ来られますよ」
「落ち着いていられるか、八年ぶりなんだぞ」
「シスコンが酷すぎても嫌われますよ?」
「ぐっ」
アマリリスは階段の途中で足を止めた。
(嘘……嘘、まさか——)
あと数段登れば二階のフロアに上がり切るというのに、身体が固まって動けない。
「リリス、ほら」
ほんの少しだけ強引にルシアンがエスコトーしてくれたおかげで身体が動き、足音を立てて階段を駆け上がる。その音に気が付いた男性客たちが振り返り、短く切り揃えられたブラウンの髪の青年が大きく目を見開いた。