天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「恐れ入りますが、テオドール様は我がモンタス騎士団長です。テオドール様以上に団長にふさわしいお方はおりません」
「そうです、団長のお力があったからこそ魔物だって——」
テオドールが片手をあげて騎士たちの言葉を遮ったが、彼らの言い分ももっともだ。ルシアンは少しも表情を変えず、前を向いたままだ。
(ルシアン様はこの状況で勝算があるのかしら……?)
「ルシアン殿下の申し出は大変ありがたいが、これは俺ひとりで決定できる内容ではありません。モンタス辺境伯とも協議が必要です」
「うん、そうだね。ただ、ひとつ理解しておいてほしいのは、リリスは僕の婚約者になったということだ。つまりゆくゆくは王妃となる。その際に生家が没落しているというのは、リリスにとって好ましくない」
「……状況は理解しましたが、こちらの事情もあります」
「この件に関する権限は僕にあるから、ある程度融通するよ。しばらく王城に滞在してもらい今後も協議しよう」
「……はい」
渋い顔をして俯いたテオドールは数秒だけ目を閉じた。その様子からルシアンの申し出が嬉しくない内容なのだと、アマリリスは理解する。
「そうです、団長のお力があったからこそ魔物だって——」
テオドールが片手をあげて騎士たちの言葉を遮ったが、彼らの言い分ももっともだ。ルシアンは少しも表情を変えず、前を向いたままだ。
(ルシアン様はこの状況で勝算があるのかしら……?)
「ルシアン殿下の申し出は大変ありがたいが、これは俺ひとりで決定できる内容ではありません。モンタス辺境伯とも協議が必要です」
「うん、そうだね。ただ、ひとつ理解しておいてほしいのは、リリスは僕の婚約者になったということだ。つまりゆくゆくは王妃となる。その際に生家が没落しているというのは、リリスにとって好ましくない」
「……状況は理解しましたが、こちらの事情もあります」
「この件に関する権限は僕にあるから、ある程度融通するよ。しばらく王城に滞在してもらい今後も協議しよう」
「……はい」
渋い顔をして俯いたテオドールは数秒だけ目を閉じた。その様子からルシアンの申し出が嬉しくない内容なのだと、アマリリスは理解する。