天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 義理堅く、曲がったことが嫌いなテオドールにとって、それほどモンタス辺境伯は大きな存在なのだろう。アマリリスは重くなってしまった空気を変えるためにも、テオドールへ問いかけた。

「テオ兄様、聞いてもいいかしら?」
「うん、なんだ?」
「モンタス辺境伯の騎士団に入団するまでは、どう過ごしていたの?」

 アマリリスはずっと気になっていたことをテオドールに尋ねた。

「ああ、手紙にも書いていたな。実は養子に出されたというか、身ひとつで追い出されたんだ」
「えっ!」

 もしかしたら大変な状況かもしれないと思っていたが、そんなことになっているとは思わなかった。十四歳の少年をひとりで国外へ放り出すなんて、そこまでクレバリー侯爵は私たちが疎ましかったのかと愕然とする。

 そうなると、ユアンも同じような状況だったのではとアマリリスは簡単に推測できた。

「確かに養子になると聞いていたんだが、いざリオーネ王国に着いて養子先を訪ねたらそんな話は初耳だと言われてな。仕方ないから冒険者になった」
「テオ兄様が冒険者!?」
「なかなか性に合っていたが、剣の腕を見込まれてモンタス辺境伯にスカウトされたんだ」
「そうだったのですか……苦労をされていたのですね……」

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