天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 アマリリスはここで、どうしてこんなに華美なドレスを着せられたのかようやく理解した。サプライズを計画していたルシアンが、兄を安心させるために手配したのだ。

(ルシアン様は本当にサイコパスなのかしら? 私の見立てが間違っていたのかもしれないわ……)

 幸せな気持ちに包まれて、アマリリスは八年ぶりに心からの笑顔になった。



「あの、ルシアン様? どうされたのですか?」

 城へ帰る馬車の中で、ルシアンはアマリリスの太ももを枕がわりにして座席に横になっている。執務室でもこんなことはしていなかったので、アマリリスはなにかあったのかと尋ねた。

「別に、なんでもない」
「なんでもなくはないようですが……」
「本当になんでもない」

 ルシアンは話す気がないようなので、アマリリスはこっそりと感情を読み取ってみる。

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