天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 今では弾けんばかりの笑顔で夜会に参加できるようになり、アマリリスも感涙で視界がぼやける。

「そういえば、ダーレンからも同じような調査書類が届いていたけど、あれはなんだったのかしら?」
「え、ダーレン様ですか?」
「ええ、すでに調査が終わった後で届いたから、意味がわからなくて……」
「もしかすると、ロベリアがなにか掴んで情報を流したのかもしれません。ダーレン様の勘当を解いてほしかったのではないでしょうか?」

 ロベリアの考えそうなことをバックマン公爵夫人に伝えると、途端に瞳から光が消えた。

「そう。私の覚悟はまったく伝わっていないことは理解できたわ」

 冷ややかな空気をまとうバックマン公爵夫人に声をかけようとしたところで、「リリス」と呼ぶ甘やかな声が鼓膜に響く。

「ルシアン様」
「我がフレデルトの若き獅子、ごきげん麗しゅう存じます」
「我がフレデルトの若き獅子にご挨拶申し上げます」

 シャンパンを片手にしたルシアンがアマリリスの肩を抱き寄せて、他に見せない笑顔を向ける。バックマン公爵夫人もナタリーもすぐさま膝を折り王族への口上を述べた。

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