天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「バックマン公爵夫人にナタリー嬢だね。夜会を楽しんでいるようでなによりだ。僕も混ぜてくれるかな?」
「あらまあ、アマリリス様を独占してしまって申し訳ありません」
「ふふふ、ルシアン殿下はアマリリス様がとても大切なのですね」

 バックマン公爵夫人とナタリーにまで揶揄(からか)われて居心地が悪くなり、この場から逃げたい心理が手伝ってアマリリスはそばを通った給仕からピンク色のシャンパンを受け取った。

「あ、ロゼを取ってしまったわ」
「普通のがよかったら、僕のと交換する?」
「いえ、問題ありません」
「僕がロゼを飲みたくなったんだ。交換して」

 少々強引だがアマリリスの意図を汲み取ったルシアンは、手にしていた琥珀色のシャンパンを差し出す。

 そんなやり取りを見ていたバックマン公爵夫人とナタリーは、ニヤニヤしながら見守っていた。ますます居た堪れなくなり、アマリリスはさっとルシアンのグラスと交換してシャンパンを飲み干す。
 
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