天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「たとえばブリジット伯爵から、ピンク色のシャンパンに毒を盛って、王太子の婚約者を殺せと命じられましたか?」
「——っ!!」

 エドガーは両目をカッと見開き、眉間に皺を寄せて口元を引き下げた。一瞬でその表情は消え、今度は真っ青な顔で俯き肩を振るわせている。

(まあ、なんてわかりやすい驚きの表情かしら。これが事実だと確定したようなものね。後は物的証拠だけれど………)

 エドガーとは二度目の対峙なので、上から言われれば従う気の弱さと、嘘が下手なことからそこまでの狡猾さがないのだとアマリリスは理解していた。そこで更なるプレッシャーをかけた上で、逃げ道を用意する。

「エドガー様、なにも話さないなら徹底的に調査し、もし敵と繋がりがあったとわかれば、王太子暗殺未遂の犯人として極刑を希望します。ですが、ここで素直に話せば司法取引できるよう私が手配します」
「………かった。私は、断れなかったんだ! 頼む! なんでも話すから、取引させてくれ!!」

 アマリリスの勝利が確定した瞬間、カッシュはその鮮やかな手口に心の中で唸った。

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