天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜

22話 想いを乗せて

「おい、私を呼びつけて、いったいなんなのだ! お前らの戯言に付き合っている暇はないぞ!」
「ブリジット伯爵、お忙しい中ご足労いただきありがとうございます。本日はルシアン様の暗殺未遂事件について、お話を伺いたいのです」

 ブリジット伯爵はアマリリスとカッシュが待つ取調室へ入った時から、激しく威嚇してきた。すでにエドガーから話を聞いているので、情報のすり合わせと身柄の確保が目的だ。
 さらにブリジット伯爵が単独で仕掛けたのか、さらにその上からの命令なのかもはっきりさせたい。

「ふんっ、それの事件が私とどう関係あるというのだ!」
「ではお伺いします。なぜエドガー・フロストを夜会の責任者へ指名したのですか?」
「………それがなにか問題か?」

 アマリリスの質問にブリジット伯爵は少しの間、目を閉じてから答えた。決して視線は逸らさず、ジッとアマリリスを睨みつけている。

「王太子であるルシアン様の暗殺未遂事件ですから、人事も含め調査しております。万が一謀反に繋がる証言や証拠が出てきましたら只事ではございませんので」
「ふん、特別なことなどなにもない。部署異動が叶わず心機一転新しい仕事に取り組みたいと申しておったから、私が手配してやっただけのことだ」
「では夜会の責任者を選んだのは、どなたかの指示ですか?」
「いや、私の判断だ」

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