天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「それでは、こちらの書類をご覧ください。ブリジット伯爵から提出された支援金要請の書類と、実際に支援金を使用した帳簿です」
「なっ、どうしてこれが……!」
「以前からブリジット伯爵の支援金要請について、ルシアン様が調査を進めておられました。今回のことも踏まえてカッシュ様がその調査資料を精査したところ、ブリジット伯爵の支援金横領が発覚いたしました」

 ブリジット伯爵はギリッと奥歯を噛みしめている。鼻筋と眉間に皺が寄り眉が吊り上がって、その表情は嫌悪と怒りに染まっていた。

「ブリジット伯爵、取引をしましょう。誰の指示なのか証言してくださるなら、支援金横領について処罰を考慮します」
「……誰の指示でもないといっているだろう」
「いいえ、それは嘘です」
「なぜそう言い切れるのだ!?」

 いい加減にしろと言わんばかりに、ブリジット伯爵は声を荒げる。だがアマリリスはそんなことはまったく気にせず、少しだけ事実を伝えた。

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