天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 ケヴィンの言葉にエイドリックはベッドから飛び起きて、手早く着替えを済ませてふたりがいる執務室へ向かった。
 クレバリー侯爵家が冬の薪すら買えないなんて、恥晒しもいいところだ。エイドリックの計算では、冬季の薪はもちろん、春まで問題なく過ごせるくらいの見通しが立っていた。

(何人も使用人が辞めてうまいこと人件費も削れたから、問題ないはずなのになぜ薪すら買えなくなっている? ロベリアとダーレンはなにをやっているのだ!?)

 体調不良も吹っ飛んだエイドリックは大股で歩き、勢いよく執務室の扉を開けた。すると耳に飛び込んできたのは、ロベリアとダーレンが罵倒し合う言葉だ。

「ダーレン様! あんなに領地経営ならできると言っていたのに、こんな寒い時期に薪も買えないなんてどういうことよ!?」
「うるさい! そもそも予算が少なすぎるんだ! 侯爵家だというのに、あれっぽっちの金額でどうしろというのだ!」
「はあ!? ご自分の手腕がないのをわたしたちのせいにしないでよ!」
「なにを言っている! 最初からあの予算でやれなんて、私を馬鹿にしているのか!?」

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