天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
     * * *



 冬も終わりかけの頃、ルシアンの執務室で特別な夜会についてアマリリスは打ち合わせをしていた。侍女としてロベリアも当然のようにその場に居合わせている。

「来週は婚約者披露の夜会が開催されるけれど、リリスの準備は進んでいるかな?」
「はい、ドレスも納品が済んでいます。アクセサリーは二日後に届きますので、それですべて整います」
「そうか、順調だね。当日のスケジュールは後でカッシュに届けさせるよ」
「承知しました」

 アマリリスとルシアンが近隣の国も招いた婚約者のお披露目について話をしているが、会話に参加できないロベリアは我慢できずに無理やりふたりの話に割り込んだ。

「ルシアン殿下が夜会の衣装を見にまとったら、とても素敵なのでしょうね……わたしもぜひ見てみたかったですわ」
「ロベリアは出席しないの?」
「父からはなにも聞いておりませんが……」
「ふうん、クレバリー侯爵家はアマリリスの生家だから間違いなく招待状を送っているはずだよ。行き違いがないか確認してみるといい」

 ルシアンは至極真っ当な意見を言うが、ロベリアはそれで満足しない。

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