天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「本日は婚約者披露の場にお集まりいただき、感謝いたします。婚約者の紹介の前に、皆様に余興をお楽しみいただきたい。クレバリー侯爵、こちらへ」

 ルシアンに指名され、胸を張って自信たっぷりに前に出るエイドリックを見たアマリリスは薄く笑う。

「では、リリスとテオドール殿もこちらへ」

 ルシアンがアマリリスを愛称で読んだことに、エイドリックは不思議そうな顔をしている。それこそが計画がうまく進んでいる証であった。

「実は、僕の婚約者が不遇な環境で過ごしていて、その事実を明らかにし正しい形に戻したいと考えている。この場を借りたのは、婚約者を苦しめた犯人を処罰し彼女の名誉を完全に復活させるためだとご理解願いたい」

 ついに始まった。アマリリスとテオドールにとって、本日のメインイベントとも言える断罪の幕が上がった。

 エイドリックからは先ほどまでの高揚感がすっかり消え去っている。その様子をアマリリスは冷めた心で観察していた。

(あら、ようやくこの状況が理解できたのかしら? この場の婚約者が誰なのか、処罰の対象が誰なのか——)

 アマリリスの思考に応えるようにルシアンが話を進めていく。

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