天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「それでは、テオドール。十四歳の時になにがあったのか、今までどうしてきたのか証言を頼む」
「はい」

 ルシアンの声掛けでテオドールが一歩前に出る。
 八年もの間、苦境に耐え鍛え上げた身体は凛とした佇まいで見る者を魅了した。何度も死線をくぐり抜け生き延びたテオドールの孤高の瞳には、絶対的な自信が宿っている。

「俺が十四歳の時に両親が事故で亡くなり、養子に出すと言われましたが実際は身ひとつでリオーネ王国へ追放されました。それから冒険者になり、剣の腕を見込まれてモンタス辺境伯の騎士団へ入団しました。必死に努力し現在は辺境伯の騎士団長としてお役目を果たしております」
「それについては、リオーネ王国からすでに冒険者登録や騎士団への入団書類の証拠資料を受け取っている。クレバリー侯爵、これはどういうことかな?」
「いえ、なんのことだか……八年も前のことですから記憶にございません」

 突如ルシアンに名指しされたエイドリックは、そう言うだけで精一杯だった。だがそんな言い訳をルシアンが許すはずもなく、さらに追い詰められる。

「そうか、記憶にないのなら思い出してもらおう」

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