天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
『……罪だな』
『罪ですか? お義姉様を裏切ることが、ですか?』
『いや、お前だよ。許可なく王族の身体に触れた罪だ。ロベリア・クレバリー、お前を不敬罪で処罰する』
『えっ! そんな、どういうことですか!?』

 ルシアンの不敬罪という言葉で、近衛騎士が部屋へ雪崩れ込んできた。ロベリアは一瞬で拘束されて、喚きもがいている。

『ルシアン殿下はわたしを好きになったはずでしょう!? どうしてわたしが捕まるの!? ねえ、どうして!?』
『どうもこうも、いつ僕がお前を好きだと言った?』
『嘘よ! だってあんなに優しく見つめてくれたのに……!』
『僕が愛するのはリリスだけだ。だからリリスの敵を排除しただけだよ?』

 ようやくルシアンの本性に気が付いたロベリアは、ハクハクと口を動かすだけで言葉が出てこないようだった。それにも興味がないルシアンは、ロベリアが触れたところを清掃するように命じて翌日に備えて眠りについた。



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