天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
(アマリリスは身持ちが固くて、そうそう一線を超えることはないから結婚式を早めたんだ)

 一日でも早くアマリリスを自分のものにしたいルシアンは、密かに画策していた。

「ねえ、それより本題からずれまくっているよ」
「ああ、そうだな。リリスの結婚式のドレスについてだったな」
「ユアンの商団で取り扱っている、世界で唯一の生地があると言っていたな」
「そうだ。金粉を練り込んだような生地が、ある地方で作られていて、村ごと買収したんだ」

 そう、重要事項とはアマリリスの結婚式のドレスについてだった。花嫁の衣装は新郎が用意するのがフレデルト王国の慣習で、通常はドレスの用意に半年ほどかかる。

 妖精の如きアマリリスに似合う世界最高のドレスを仕立てたい、とルシアンがテオドールに相談したのが始まりだ。

 そこでリリスのためならばとテオドールが商団に身を置くユアンを頼ったのだ。
 ユアンの事情もあったのでアマリリスには詳しく話せていないが、無事であることは伝えている。

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