天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 ルシアンはアマリリスのことなら本人以上に深く理解している。だからこそ欲しい言葉と喜びを与えてきた。

(仕方ない、僕も手を貸した方がよさそうだな)

「ドレスの生地はユアンに頼んだ。それで、その組織から抜け出すためにはどうしたいいの?」
「なんだよ、協力してくれるのか?」
「そうしたらリリスが喜ぶからね」
「そうだな、リリスのためにもユアンはさっさと組織を抜けるべきだ」
「へ〜、オレのリリスは最高だな」

 ユアンの何気ないひと言に、ルシアンとテオドールはキッと目じりを釣り上げる。

「僕のリリスだから!」
「俺のリリスだ!」
「はっ、それなら勝負しようじゃねえか」

 ユアンはニヤリと笑みを浮かべてテオドールとルシアンを挑発しはじめた。
 真っ先に乗ったのはテオドールだ。

「いいだろう。誰がリリスを一番喜ばせるのか勝負してやる」
「ルシアン、お前も勝負するだろ?」

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