天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 そして使用人たちに手を差し伸べる時に、絶対的に必要なのはお金だ。それから馬鹿にされないだけの社会的地位。仕事を紹介する伝手もあった方がいい。

 さらに女性でもバリバリ働ける仕事となると……デザイナーか商人か。もしくは教師か。冒険者もありだ。

 デザイナーはセンスと被服の勉強が必要だけど、あいにくどちらも持ち合わせていない。そもそもアマリリスは両親が亡くなってからおしゃれをしたことがない。

 教師にしても、貴族が通うような高等学院や専門的な学院を卒業しないと働くことすらできない。魔法の知識があれば、魔法学の教師はできるけれど魔法はからきしだ。剣も使えないから冒険者も消えた。

「そうなると商人ね……それなら西の国へ行こう。計算は得意だし、どこかの商会で雇ってもらえるでしょう」

 今後の方向性が定まれば、行き先も自然と決まる。乗り合い馬車は、王都を囲む城壁の東西南北にそれぞれの乗り口があるので、西を目指して足を進めた。

 ここからならアマリリスの足でも、王都を十字に走る大通りを一時間ほど歩けば馬車の乗降口に着く。途中で安売りしているパンをいくつか買って、ひとつはすぐに食べて後は残して道中に備えた。

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