天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 王城に着くとアマリリスと腕を引いてきた騎士だけになり、「こちらです」と騎士が左斜め前を歩きはじめる。

 この騎士は王太子殿下の専属だと打ち明け、手荒なことをして申し訳なかったと何度も謝罪された。そのまま黙ってついていくと、ダークブラウンの重厚な扉が開かれ、騎士は躊躇(ちゅうちょ)なく足を進めていく。

「それでは、こちらにおかけになってお待ちいただけますか?」
「はい……」

 アマリリスがソファーにかけるとすぐに侍従がやってきて、お茶とお菓子を用意してくれた。足元にボストンバッグを置いてお菓子をつまんだら、あまりのおいしさに手が止まらなくなってしまう。

 そんなタイミングでドアがノックされ、先ほどの騎士が戻ってきた。

「お待たせいたしました。国王陛下とルシアン殿下がお越しです」

 騎士の言葉の後に続いて姿を現したのは、眉間に皺を寄せた国王と、嬉しそうな顔で微笑む王太子ルシアン殿下だった。

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