天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
かといって王太子であるルシアンが、悪女と名高いアマリリスから腹黒教育を受けているなど、口が裂けても言えないことだ。そんなことが知られたら、王太子としての素質を疑われてしまう。
「そこで、アマリリス先生には僕の婚約者候補として、そばにいてもらいたい」
「まあ、それが妥当ですわね。ではこちらの部屋を用意してくださったのも——」
「そうだよ。ここは王族に準じたものが使う部屋だ。僕の婚約者候補として、大切な人だとアピールできる」
アマリリスは短くため息をついた。
婚約破棄を宣言されてからここまで、およそ四時間ほどだ。いくら王家でも、こんな短時間ですべてを準備したとは考えにくい。どう考えても、随分前から調査して入念に準備を整えてきたとしかアマリリスは思えなかった。
「いつから私に目をつけていたのですか?」
「さすがアマリリス先生だね。これだけでわかるの?」
「ごまかさないでください。いつから計画していらっしゃったのですか?」
アマリリスはルシアンのアメジストのような瞳をジッと見つめる。隣りに座っているから思いの外距離が近い。ルシアンの端正な顔立ちから、ふっと柔和な笑顔が消えて、獲物を狩るような視線がアマリリスに突き刺さる。
「……ずっと前から君がほしかったと言ったら、信じる?」
「——はい?」
「そこで、アマリリス先生には僕の婚約者候補として、そばにいてもらいたい」
「まあ、それが妥当ですわね。ではこちらの部屋を用意してくださったのも——」
「そうだよ。ここは王族に準じたものが使う部屋だ。僕の婚約者候補として、大切な人だとアピールできる」
アマリリスは短くため息をついた。
婚約破棄を宣言されてからここまで、およそ四時間ほどだ。いくら王家でも、こんな短時間ですべてを準備したとは考えにくい。どう考えても、随分前から調査して入念に準備を整えてきたとしかアマリリスは思えなかった。
「いつから私に目をつけていたのですか?」
「さすがアマリリス先生だね。これだけでわかるの?」
「ごまかさないでください。いつから計画していらっしゃったのですか?」
アマリリスはルシアンのアメジストのような瞳をジッと見つめる。隣りに座っているから思いの外距離が近い。ルシアンの端正な顔立ちから、ふっと柔和な笑顔が消えて、獲物を狩るような視線がアマリリスに突き刺さる。
「……ずっと前から君がほしかったと言ったら、信じる?」
「——はい?」