天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 思いもよらないルシアンの言葉に、アマリリスは思わず聞き返してしまった。
 それでも外されることのない視線は絡み合ったまま。息苦しいくらい真剣な眼差しが、アマリリスの心を掴んで離さない。

 だが次の瞬間、唐突にルシアンが項垂れた。

「……っあー、ダメだ。やっぱりアマリリス先生みたいに上手くできないな」
「え……?」
「アマリリス先生の真似して、悪い男になろうと思ったんだけど、難しいね」
「そ……そうでしたか。きちんと教えますので、ご安心ください」

 緊張が緩んだ瞬間にアマリリスの頬が熱を持ち始め、ルシアンから顔を背ける。こんな風に男性から言われたことがなかったので、反応が遅くなってしまったのだ。教育係としてダメな反応だったと、悔しさが込み上げる。

(ルシアン殿下はただ、腹黒教育を真面目に受けようとしているだけよ……! 落ち着け、私……!)

 咳払いして姿勢を整え、改めてルシアンに視線を向けた。

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