天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「ってー……悪い、ちょっと耳鳴りがひどくて起きれなかった。あー、鼓膜がやられたみたいだ」
「テオ兄様、耳が聞こえないの……?」

 とまりかけた涙がアマリリスの琥珀色の瞳からブワッとあふれた。テオドールは困ったように眉を八の字にして、かわいい妹の頬を包み込む。

「大丈夫、反対の耳もあるし聞こえるよ。リリスは? 痛いところはないか?」
「私は兄様たちに比べたら……」

 アマリリスの瞳にじわりと真珠のような涙がたまる。慌てたテオドールとユアンは立ち上がり、アマリリスの大好きなお菓子を食べさせようと厨房へ向かった。



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