天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 ルシアンが部屋まで迎えにきて、そのまま執務室へと案内してくれた。
 案内の途中、本日の予定を聞き出し、アマリリスはまずは様子見していたのだが——

「ルシアン殿下、こちらの申請は我が領地からのものでございます。先月の大雨によって交通の要である橋が壊れ、早急に修繕が必要ですが、小麦畑も被害を受けておりまして助成金の追加をお願いしたく存じます」

 南方の領地を治めるブリジット伯爵は、そう言いながら両手をお腹の前で組んでいる。時折、首元のクラバットを緩めながら、ルシアンに助成金の援助を申し出た。

 ブリジット伯爵領は広大な小麦畑を所有し、王国だけでなく隣接国にも輸出して経済状況は潤っている。

「そうか……それは早急に復旧が必要だね。わかった、僕から話を通しておくよ」
「ありがとうございます! それでは失礼いたします!」

 そう言って嬉しそうな顔でブリジット伯爵は出ていった。ルシアンは処理を指示して事務官に渡して次の面会を促す。

 橋が壊れ流通が滞れば確かに問題だが、助成金を捻出するほどなのかとアマリリスは疑問だった。

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