天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
アマリリスはわかりやすい嘘をつこうと考えた。昨日、ルシアンに不意打ちされて悔しかったのもあり、ハニートラップを仕掛けるつもりで言葉を続ける。
「ルシアン様、本当は私……迎えにきてもらうのをずっと待っていたのです。クレバリー侯爵家では使用人同然の扱いでしたし、八年前に養子に出された兄たちとも音信不通で、ずっと孤独でした……」
「アマリリス……」
ルシアンは眉尻を下げて、当人であるアマリリスよりもつらそうに話を聞いている。昨夜と同じようにふたりで並んでソファーに座っているから、肘や膝が軽く触れ合い互いの体温を感じとっていた。
アマリリスの瞳は潤み、切なそうにルシアンを見上げる。その視線を受けたルシアンは、真剣な眼差しをアマリリスに返した。
「ですから王命とはいえ、このようにルシアン様のそばにいられるのは本当に奇跡なのです」
「アマリリス、僕は……」
ルシアンの淡い紫の瞳の奥に、情熱的ななにかが燻っている。正義感に駆られて明後日の方向へ動かれては困るので、アマリリスはここで切り上げることにした。
「はい、以上です。今の言葉でなにを感じましたか?」
「——え?」
「ルシアン様、本当は私……迎えにきてもらうのをずっと待っていたのです。クレバリー侯爵家では使用人同然の扱いでしたし、八年前に養子に出された兄たちとも音信不通で、ずっと孤独でした……」
「アマリリス……」
ルシアンは眉尻を下げて、当人であるアマリリスよりもつらそうに話を聞いている。昨夜と同じようにふたりで並んでソファーに座っているから、肘や膝が軽く触れ合い互いの体温を感じとっていた。
アマリリスの瞳は潤み、切なそうにルシアンを見上げる。その視線を受けたルシアンは、真剣な眼差しをアマリリスに返した。
「ですから王命とはいえ、このようにルシアン様のそばにいられるのは本当に奇跡なのです」
「アマリリス、僕は……」
ルシアンの淡い紫の瞳の奥に、情熱的ななにかが燻っている。正義感に駆られて明後日の方向へ動かれては困るので、アマリリスはここで切り上げることにした。
「はい、以上です。今の言葉でなにを感じましたか?」
「——え?」