天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 遠慮のない悪意がアマリリスに向けられる。ルシアンがアマリリスに騙されていると決めつけ、果敢に攻めてくる勇気は認めたいが、ルシアンの前でパートナーを貶めるのは悪手だ。今回は勉強も兼ねているので大歓迎ではあるが。

 アマリリスは困ったように眉を八の字に下げて、優雅に儚く微笑みを浮かべる。

「実は、従妹であるロベリアとダーレン様は密かに心を通わせていたのですが、私の存在があったため結ばれることができなかったのです。そこで一計を案じ、悪女のふりをして身を引いたのです」
「そんなでたらめを……!」
「信じられないわ」

 アマリリスの発言を信じがたい貴族たちに、わずかな動揺が広がる。実際に今日のアマリリスの立ち居振る舞いは完璧で、悪女の素振りは微塵も感じられないからだ。

「それは本当だよ。しっかりと調査した結果、間違いない事実だ。僕も婚約破棄したばかりだったけど、アマリリス嬢の献身に心を打たれて婚約者候補にと打診したんだ」

 ルシアンがベストタイミングで援護射撃を打ってくれる。王族の調査で間違いないと言われれば、認めざるを得ないし事実で違いない。アマリリスだって、なにひとつ嘘はついていない。

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