天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「……それが事実なの?」
ポツリと聞こえた声は、バックマン公爵夫人のものだ。
頬が隆起して口角が下がり、眉を寄せている。読み取れる感情は強い後悔。ずっとかわいがってきた息子の婚約者を信じきれなかった自分に対する怒り。アマリリスの状況を理解してやれなかった悔しさ。
高潔なバックマン公爵夫人だからこそ、ここで罪悪感を煽れば完全に味方になるとアマリリスは読む。
「はい。バックマン公爵夫人を騙すようでずっと心苦しかったのですが……やっと本当のことを言えました。たとえどんなに蔑まされようと、お慕いしたダーレン様とロベリアには幸せになってもらいたかったのです。どうかあのふたりをお認めください」
「ああ、アマリリス……! 貴女はなんて健気なの……!」
アマリリスの完全勝利が確定した瞬間だった。
それでも嫌味を言ってくる貴族がすぐにいなくなるわけではない。
しかしアマリリスの悪女が演技であったことが広まれば、真実を見抜いた王太子としてルシアンの評判は上がるだろう。伯父の立ち回り次第ではクレバリー侯爵家の評判も下がるし、ダーレンとロベリアについては不貞の噂がついてまわる。
その後も嫌味を言ってくる貴族たちをあしらい、ルシアンに嫌みと切り返し方を実践で見せていく。素直すぎるが飲み込みの早いルシアンなら、今日のお茶会からもなにか学び取っているだろう。
(ふふ……これでいいわ)
ポツリと聞こえた声は、バックマン公爵夫人のものだ。
頬が隆起して口角が下がり、眉を寄せている。読み取れる感情は強い後悔。ずっとかわいがってきた息子の婚約者を信じきれなかった自分に対する怒り。アマリリスの状況を理解してやれなかった悔しさ。
高潔なバックマン公爵夫人だからこそ、ここで罪悪感を煽れば完全に味方になるとアマリリスは読む。
「はい。バックマン公爵夫人を騙すようでずっと心苦しかったのですが……やっと本当のことを言えました。たとえどんなに蔑まされようと、お慕いしたダーレン様とロベリアには幸せになってもらいたかったのです。どうかあのふたりをお認めください」
「ああ、アマリリス……! 貴女はなんて健気なの……!」
アマリリスの完全勝利が確定した瞬間だった。
それでも嫌味を言ってくる貴族がすぐにいなくなるわけではない。
しかしアマリリスの悪女が演技であったことが広まれば、真実を見抜いた王太子としてルシアンの評判は上がるだろう。伯父の立ち回り次第ではクレバリー侯爵家の評判も下がるし、ダーレンとロベリアについては不貞の噂がついてまわる。
その後も嫌味を言ってくる貴族たちをあしらい、ルシアンに嫌みと切り返し方を実践で見せていく。素直すぎるが飲み込みの早いルシアンなら、今日のお茶会からもなにか学び取っているだろう。
(ふふ……これでいいわ)