天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 アマリリスには才能があった。

 もともと三兄弟の中でも桁違いに頭脳明晰で口が達者な上、抜群の行動力があり、目的のためには手段を選ばない冷酷さも持っている。そんな悪女としての才能があった。

 誰をも魅了する美しい容姿もあいまって、儚げに微笑みを浮かべれば妖精だと、傲慢に振る舞えば稀代の悪女として名を馳せる。

 最初からアマリリスへの態度が変わらないのはルシアンだけだったが、彼も非凡な才能の持ち主だ。貴族の事細かな情報をすべて把握し、瞬時に必要な計算ができる。国中の貴族令嬢を魅了する美貌で、いつも朗らかに微笑んでいた。
 
 きっとルシアンが腹黒教育を終えれば、誰よりも国を豊かに導く王になることだろう。

(さっさと教育係のお役目を果たして、使用人たちの受け皿と兄様たちを探しましょう)

 アマリリスはその決意を胸に、ルシアンと帰路についた。そして翌日からマンツーマンで教育をする計画を立てたのだった。


< 54 / 220 >

この作品をシェア

pagetop