天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 確かにルシアンは王城に来た日にそう言った。

「だけど、あれは悪い男の演技をしようとしたのではないですか?」

 アマリリスはカラカラの喉を上下に動かす。あの時だって嘘をついている様子はなかった。

(もしかしてルシアン様の美貌に目が眩んで見逃した……? いや、そんなことはない。もう癖になるほど、表情を読み取るのは身についているもの)

「どちらかというと、悪い男の演技をしたとごまかした感じかな」
「どうして……そんなこと……」
「どうしてって、君を手に入れたかったからに決まってる」

 アマリリスはルシアンの言っていることが理解できなかった。手に入れたければ、正面から申し出るものではないのかと、疑問しか浮かんでこない。

「ふふっ、君は初めて僕と父上に会った時に一瞬だけ拒絶反応を示したんだ」
「え……?」
「このままでは君の気持ちを掴めないと思ったから、ずっと教育係としてそばにいてもらえるようにしたんだ」

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