天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「アマリリスは決してそのような無作法はしませんでした。それからアマリリスの身の回りの世話をしてきたのに、貴方の指先は潤いがあって綺麗なままなのね」
「そ、それは……アマリリスが、いえ、アマリリス姉様が侯爵家から出られたので、お世話することがなくなったからですわ」
見え透いた言い訳だとバックマン公爵夫人は思った。アマリリスとお茶をする時、彼女はいつも手袋をしていた。決して外されることがなかったが、もし使用人のようにあかぎれだらけの指先を見せないためだったのではないかと、今なら気付ける。
これまでもアマリリスの不穏な噂は耳にしていた。たとえ流行りのドレスを着ていなくても、あまりにも優雅で美しい所作と的確な受け答えにアマリリスならバックマン公爵家を任せられると考えていたのだ。
「そう、でもね。私は貴女の言うことが信じられないわ」
「そんな——わたくしは嘘などついておりません!」
「お黙りなさい。両親を亡くし、兄まで養子に出された従姉の婚約者に懸想するような女がなにを言うの? 普通なら自分を律して横恋慕すらしないものよ。所作も洗練されていないし、どんな教育を受けていらしたの?」
「そ、それは……アマリリスが、いえ、アマリリス姉様が侯爵家から出られたので、お世話することがなくなったからですわ」
見え透いた言い訳だとバックマン公爵夫人は思った。アマリリスとお茶をする時、彼女はいつも手袋をしていた。決して外されることがなかったが、もし使用人のようにあかぎれだらけの指先を見せないためだったのではないかと、今なら気付ける。
これまでもアマリリスの不穏な噂は耳にしていた。たとえ流行りのドレスを着ていなくても、あまりにも優雅で美しい所作と的確な受け答えにアマリリスならバックマン公爵家を任せられると考えていたのだ。
「そう、でもね。私は貴女の言うことが信じられないわ」
「そんな——わたくしは嘘などついておりません!」
「お黙りなさい。両親を亡くし、兄まで養子に出された従姉の婚約者に懸想するような女がなにを言うの? 普通なら自分を律して横恋慕すらしないものよ。所作も洗練されていないし、どんな教育を受けていらしたの?」