天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 思い通りにならなくてもそれすら楽しいとルシアンは笑う。ルシアンにだけは隙を見せたらダメだと、アマリリスは心の底から思った。

「それでは、そろそろ時間なので失礼いたしますわ」
「はあ、残念だな」

 アマリリスは国王陛下へ謁見するためソファーから立ち上がり、扉に向かって歩き出した。

「あ、リリス先生、ちょっと待って。忘れ物だよ」

 なんだろうと思って振り向くと、腕を掴まれ眼前にルシアンの美貌が迫っていた。突然のことで固まって動けないアマリリスの唇の端を、柔らかなルシアンの唇が掠めていく。

「うーん、唇を狙ったのに。リリス、わざと避けたの?」
「ち、違いますが、不意打ちは卑怯です!」
「卑怯でもなんでも、リリスが僕を男として見てくれるならどんなことでもするよ」

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