天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 気持ちを切り替えて、アマリリスは国王陛下の執務室へやってきた。

「我がフレデルトの揺るぎなき太陽。本日はお時間をいただき誠に光栄でございます」
「今後、堅苦しい挨拶はしなくてよい。アマリリスにはルシアンが世話になっている。それでルシアンについて相談があるそうだな?」
「ありがとうございます。はい、ルシアン殿下の教育についてお話がございます」
「なんだ?」

 多忙な国王の時間を無駄に使わないよう、アマリリスはズバッと核心に切り込む。王家の色でもあるロイヤルパープルの瞳は、威厳を放ちながらアマリリスを射貫くように見つめていた。

「ルシアン殿下の腹黒教育でございますが、聡明で計算に長けたお方であり、相手の腹の中を読まなくても、状況に合わせて的確な指示や行動を取ることができます。よって、これ以上お教えすることがございません」
「うむ、それは私もわかっておる。能力は問題ないのだが、やはり多少腹の内を読めなければなるまい」
「いいえ、国王陛下。ルシアン殿下には為政者として類稀なる才能がございます。それは目的のためなら他者に対しても非情な決断ができ、常にフレデルト王国のために最善の行動をとれるのです」

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