天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 そもそも世界中で見たとしても魔法剣の使い手は百人前後で、その中でさらに雷魔法の使い手は二十人ほどだろう。さらに青い雷を操るとなるとほんの数人となる。
 しかも二十代前半とテオドールと年齢も合致しており、他人だと思う方が難しい。

「テオドールに会いにいくの?」

 珍しくルシアンの声が不安げに揺れている。
 ルシアンはアマリリスが離れることが不安なのだろうと思い、問いかけに真摯に答えた。

「すぐにでも会いにいきたいと思っていますが……そのためにはルシアン様と国王陛下の許可が必要でございます。ですが、まだお役目を果たしておりませんので、すぐに行動するのは難しいと考えています」
「そう……リリスは、テオドールに会ったらどうするつもり?」
「私はただ、生き別れになってしまった兄様たちに会いたいだけです」

 もしかしたらクレバリー侯爵家を取り戻せるかもしれないが、それについては正直なところあまり関心がない。ただ、兄たちの無事を確認して、昔のように家族としてそばにいたいだけだ。

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