【短】「花火を背にした少女」
 本人には言えない不満を心の中で吐き出して、悪態をつくことでフラストレーションを解消する。


 床に差した月明かり、私だったらより幻想的に写真に収めたのに。

 見たままを写真にすることがどれだけ難しいか、さらに魅力を深めるのがどれだけ神業(かみわざ)か、絵翔(かいと)は知ってるの!?




「…月明かり…」




 ぽそりと呟くと、頭に閃きが降りてくる。

 私にとってカメラは、絵翔(かいと)の絵を収めるためのものだったけど…。


 これなら、私にも描ける!


 バッと起き上がって、にんまり笑みを浮かべた。

 そうと決まれば、早速研究しなきゃ。


 一度きりのチャンス、失敗は許されないんだから。



< 10 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop